たぬきとくまの台所

平成生まれのアラサーのたぬきとくまの夫婦の台所

ウミノ麺最強説

 ウミノ麺。

 そう呼ばれるおそうめんのバリエが、当家の夏の定番だ。

 

 ご察しの良い読者諸兄はすでに気がついておられるであろう。ーーというか、あのそうめんをネタにしたブログエントリは枚挙にいとまがなく、当ブログで何番煎じであるかわからない。

 しかしうまいものはうまいので、ぜひシェアしたいと思い、筆を執った次第だ。

 

 ウミノ麺ってなんですか。

 まだピンときていないあまりにありがたい(ご存知の方ばっかりだったら、このエントリまるごと意味ないからNE!)読者のために注釈しておくと、「ハチミツとクローバー」「3月のライオン」でおなじみ羽海野チカ先生が、「3月のライオン12巻」の劇中に登場させたおそうめんだ。

 

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 野菜と豚をいれて生姜を効かせた熱々のめんつゆに、キリキリに冷やしたおそうめんをくぐらせて食べるという寸法の代物だ。おそうめんのつけめん、そう表現するのが、今日日ではもっとも適当であるように思われる。

 

 そのレシピを、ざっくりとご紹介しよう。

 詳しいところは、ぜひ漫画のほうを買って読んでください面白いから。

 

 

【材料】

 

・なす それなりに

・たまねぎ たべたいだけ

・きのこ あったらでいいよ

・しょうが ひとかけ。こいつがキモ

・お肉 切り落としとか細切れとか。豚でも鳥でも美味しいはず。牛ではやったことない。

・おそうめん 普段の量+1把くらいがいい。

・大葉 薬味として。なくてもよいがあればあるほどよい。

 

 なお、当家のイチオシは揖保乃糸

 最近知ったことだけれど、揖保乃糸にはいくつかランクがある。よくスーパーで見るのは「上級」ってやつで、これは普及型だ。

 


 

 

その下……というかバリエに「太づくり」、上に「熟成麺」「播州小麦」「縒(より)つむぎ」「特級」「三神」というランクがある。おたかいスーパーとか、あるいは贈答品でやりとりするようなおそうめんは後ろのほうのランクで、まぁ顕著にうまい。


 

 とはいえ今回は揖保乃糸について詳しく説明するエントリではないし、厳密に食べ比べた事があるわけでもない。お財布と相談してリーズナブルなところをつかってください。

 

 

【手順】

1.ナス:一口大、玉ねぎ:串切り きのこは割いて、生姜は千切り。

  大葉も千切りにして水気を切っておく。

2.ごま油で生姜を炒め、香りを出したら野菜とお肉を加え炒める。

3.めんつゆを入れ、好みの辛さに。目安は「飲めるけどちょっと辛い」

4.そうめんを茹で、冷水で締める。

5.あとは好きに盛り付けてつけ麺スタイルで食べる。

 

 生姜は多めが大人うまい。

 小さな子が生姜をもろにかじると多分泣くので、その場合にはおろしショウガもやむなしかと思います。

 

 めんつゆのしみこんだおナスから汁がジュワワと溢れ出し、玉ねぎは淡い歯ごたえを残して甘く、そこで肉がどっしりとした存在感を放つ。そして生姜の香気が全体を掌握するなかで、たまに千切りが歯に当たり清涼感ある風味が炸裂する。

 そこへ薬味の大葉をぶっかければ、もう「夏食ってる」感で箸が止まらない。

 

 で、これがどう良いのかというと、まずおなかがひえない。

 夏は冷やし麺、空調の聞いた部屋でキリキリに冷えた麺を…というのはどうもおっさんの理屈であるようだ。たぬきをはじめ女性陣は、暑いのは嫌であるが体を冷やすのは嫌だというアンビバレンツな感情をお持ちであることがあるという。

 

 その点こちらのウミノ麺であれば、麺ひやひやの汁アツアツであるからして、氷水に浮いていたようなそうめんを冷たいめんつゆですすり込むよりも格段におなかによい。そのうえ生姜まで入っていて身体によい。この時期うれしい夏バテ対策にももってこいだ。

 

 また、野菜がたくさん食べられるのもうれしい。おナスや玉ねぎをはじめとし、入れようと思えばしめじなり舞茸なり何でもいれてよい。たくさんの野菜をめんつゆ味のもとに糾合しておそうめんをやっつけるのである。ここにおいて肉は欠かせぬバイプレイヤーであって、主役でない。野菜類こそが本体であるので、各位大いに野菜による物量戦を仕掛けて欲しい。たぶんナスの一袋や二袋は余裕である。 

 

 最後にべらぼうに食が進む。

 ウミノ麺は、ネギ生姜めんつゆのオーソドックスなそうめんと比べて、味の情報量が多いと思っている。だから「ちょっとこの味飽きてきたな」という「なんかもういいや」のタイミングが、ふつうにおそうめんより遅い気がするのだ。

 

 マットな「つゆ+そうめん味」に多用な薬味で手を変え品を変えのインパクトを与えて美味しく食べきるのが、いわゆるふつうのおそうめん。道端の様々な植栽が楽しい散歩道みたいな感じ。目には楽しいが所詮平坦な道であって玄人好みではない。

 一方でウミノ麺は食感が色々楽しく、風味を加える要素も多い。味のアスレチックコースである。冷熱の温度差、様々な味の差異、風味の差異によって飽きさせずに箸が進むため、ウチでは一人3把、夫婦ふたりで揖保乃糸一袋が行けてしまう。

 

 とはいえ、ウミノ麺とはいえ万能無敵ではない。当然弱点はある。

 具材を揃えるのがめんどくさいとか、野菜を刻むのがめんどくさいとか、生姜ひとっかけ使っただけで残りを死蔵しがちとか、麺とつゆで鍋が2つ塞がるとか。

 そしてやっぱ問題なのは、「夫婦二人で揖保乃糸が一袋いけちゃう」ことだとおもうんだよな(じつと腹を見る

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