テレビめし:うにたまご
テレビでやってたアレを作ろう。
そう思うこと、自炊をする人ならだれでも一度位はあるのではないかと思う。
ただ「テレビでわざわざやるようなメシ」というのは大概にしてものすごく面倒とか材料がご家庭にないとかして、あんまり「おうちでできました」等といえるものではなことが多い。それもお料理ハウツー番組ではなくて、ドラマに出てきたうまそうなメシなんぞを再現しようと思った日には、どれだけの手間や機材がいるのか考えるだけに恐ろしい。
しかし。
ずぼらでものぐさな我が家ではあるが、うまいこと再現に成功したテレビめしがひとつあった。
「うに味玉」である。
大人気グルメドラマ「孤独のグルメ」、あれは確かシーズン5の最終話だったと思う。居酒屋で、店主がムロツヨシで、ゴローちゃんが居酒屋メシを組み立てていた、そんな回だ。
|
そこで登場したのが「味付け玉子にウニのっけたやつ」であった。以降長ったらしいので「ウニ味玉」と呼称する。
ちょっと今「孤独のグルメ」を見直して正確な話数だのメニュー名だのを引っ張ってこようとすると、普通に見入っちゃってブログ記事どころではなくなりそうなので、ずいぶんざっくりした言及で失礼する。
当たり前だが一般家庭にウニはない。
そこは、わざわざ買いに行かなくてはならない。
例えば菜っ葉をいい感じに茹でていい感じの和え衣でいい感じに胡麻和えを作るとして、この大量に挟まってくる「いい感じ」をキッチリ過不足なく「いい感じ」にしてやらないとお店クオリティというか、飲み屋クオリティが実現できないことを考えるなら、味玉とウニがあればなんとなしそれっぽくなるこの「ウニ味玉」の実戦投入によって、より簡易に頭悪くお店クオリティで飲めるのではないだろうかーー。
と、当家はこのような推論を行い、さっそくウニを手配した。もう何度か前の冬のことであった。
手配したのは「ブランチウニ」である。
|
ウニというやつは身が崩れるのでミョウバンだの塩水だのなんだかんだといって長期ーーは無茶にせよ、少なくとも流通には耐える感じで保存しようとする。国内ウニだと、おそらく主流はミョウバンで、その次にプレミアム感を漂わせつつ塩水、最後に「活けでもってくる」という禁じ手があろう。
しかしてブランチはどれでもない。
「一瞬湯がいて表面を固めてしまえ」という乱暴な発想のやつで、そのくせ添加物の味や匂いはしないので、主に輸入ウニを中心に、この技術で加工して日本へ運ばれてくるらしい。
ウニはピンキリであって、北海道産エゾバフンウニだなんだと能書きをたれれば100グラムで3000円も4000円もするやつがお取り寄せではごろごろしている。
|
ただ、そんなもんを味玉にのっけてしまうのは恐れ多い。
ていうかそもそも価格的に手が届かねぇ。
そんなわけで我が家はもっぱら、100グラム1000円強のブランチウニを愛用しているのである。安いとは言わないが、相対的に考えて結構お手軽にウニ〇〇を作れるのでふつうにおすすめですよ。絶対値で言えばそりゃあなたお高いですよウニだもん。
|
さて、そんなわけでウニを用意していただく。冷凍で送られてくるので、一晩もチルド室に入れておけば溶けるだろう。
そしてもう一方では味玉を用意する。
茹で時間としては、冷蔵庫から出したてをお湯に叩き込んで6~7分のトロトロ加減がよいのではとおもう。ソレを煮きったみりんとめんつゆの混合液にじゃぼっと浸して1晩待っていただく。
味玉を作るに当たり、調味液の味付けをどうするのか、というのは当家でも度々浮上する大問題なのだけれど、たぶんウニをあわせるのであれば醤油味玉がいいのではと思う。さらに「醤油!」というどぎついアタックがあってはもう醤油の塊をしゃぶっているような心象風景になってくること請け合いであるので、適当なめんつゆをちょっと薄めて、砂糖なりはちみつなり味醂なりで甘みを足していただきたい。
そのへんの委細なレシピに関しては、当ブログの守備範囲外であるのでもう諦めてください。お料理研究ブログじゃないのだ、ここは。うまかったよ帳であるのだ。
閑話休題、そんな次第でブランチウニを用意し、あまから醤油味玉を用意したと。ここまではいいですね。ここまでは下ごしらえですからね。
あとはテグスで味玉を真っ二つに割り(包丁で割ってもいいですけどトロトロの黄身が持っていかれますからね)、液状化した黄身の流出を食い止めるような心持ちでウニをのっける。そして、あればワサビをちょっぴりと上にのっけてやる。
そうしますとテレビメシ「ウニ味玉」でございます。
コレステロールや中性脂肪のことは忘れて、芳醇なタイプの日本酒と一緒にどうぞ。