たぬきとくまの台所

平成生まれのアラサーのたぬきとくまの夫婦の台所

おそうめんバリエ:冷や汁

 先日、某所より「もっとそうめんの話をかけ」というお声を頂戴したので、素麺の話もしていこう。もう9月になっちゃったけれども、でもまだ暑い日はあるわけだし。涼し気なものをサッとつくって、啜って、おしまいにしたい、そんな日だってまだあると信じる。

 

 そんなわけで今回ご紹介したい素麺のたれレシピは「冷や汁そうめん」だ。

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 近頃ずいぶん流行ってきたので、冷や汁というものをご存知ないというかたはおそらくあんまりおられないのではないかと思う。宮崎名物、冷たくキンキンに冷やした、焼き魚、キュウリ、茗荷、豆腐等を具材にしたお味噌汁を温かいゴハンにぶっかけて食うあれだ。

 

 こいつ、丁寧にホンモノを作ろうとするとべらぼうに手間がかかる。ごまをはじめ種子類を煎って擦って、焼き魚焼いてほぐして擦って、そこへ味噌入れて冷水入れて、別途みじん切りとか塩もみとかしておいた野菜類を加えて温かいご飯にぶっかけるわけだ。これはねぇ、流石にお店屋さんの仕事だと思うんですね。

 そんなわけで、冷や汁っていうもの自体をめんどくさがって、美味しいのにも関わらず随分長いことやっていなかったのだけれど、皆さんご存知水産業大手ニッスイの公式ページで興味深いレシピが紹介されていた。

 

https://www.nissui.co.jp/recipe/00699.html

 

 サバ缶で冷や汁、である。確かに魚の焼けた匂いを汁に付加することはできないけれども、またごまをはじめとする種子類の香ばしい風味もあまりつかないけれども、限りなく冷や汁に近似するものを、たいへん手軽に作ることができるというじゃないですか。

 

 

 ヤバいですよねこれ、サバ缶開けて中身ほぐして水入れて味噌入れて野菜乗っけてゴマ振ったらもうおしまいですよ。

 

 で、当家ではここから豆腐を省き、あくまでサバ缶の冷たい味噌汁(濃いめ)としたうえで、おそうめんをざぶっと浸して啜り込んでやろうと、そう考えたわけなのです。やってみました。

 

 その結果がどうだったのか。

 結論から言って最の高。

「食べごたえのあるそうめん」っていいな、っていう感じでした。しかもそうめんを茹でる以外、火も使わないんだこれ。

 もっとパンチがほしい! っていうときには「食べるラー油」をひとたらしすると抜群にジャンクでパンチのある味になるので、なんかパワーが欲しいときにはこっちもおすすめだ。 

 

 だいたい普通のおそうめんというのは、軽い食べ物の代表格だとおもう。食欲なくてもスルスルいけていいよね、夏バテしがちな時期向けだよね、みたいな。

 ただこれは、そもそもそんなに食欲減退してないよ、という人にとっては、軽すぎて物足りない食べ物だと思うのだ。

 

 実際、ちょっとイメージしてみて欲しい。昨今どのご家庭にもクーラーがあるでしょう、室温が外気温と同じ35度とか、そういうことはないわけだ。夏バテの程度が、トラディショナルな「そうめん」の時代よりも低いと思うのだ。だってそのくらいの対処を取らないと昨今は人死にが出るもん

 そこでそうめんを茹でた、氷水で冷やした、さぁお食べ、って言われてもさ、「あのう、おかずはないんですか」ってなるじゃないですか。

 

 ただのめんつゆは単に調味料であって、これをおかずとして戦線を構築することは大変むずかしいけれども、魚入り野菜入りの冷や汁であれば、まだおかずとして戦えると思う。実際、完全に魚や野菜をペーストにして「調味液」として均質化することはご家庭レベルでは無理なのだ。どうしたって味や食感にはムラができる。

 ここがおかずポイントである。非均一さによる食感が楽しく、味も楽しく、香気も楽しい。

 

 一昔ほど前であれば、「ええ、味噌汁が冷たいんですかァ」という未知の文化に対するギャップが力強かったように思うけれども、しかし冷や汁が随分市民権を得てきた昨今ならば、そこまで「気分的になんかやだ」ということもないだろうと思う。

 

 備蓄の缶詰を入れ替えるついでに、サバ缶で冷や汁を作って、素麺をすする。これ、夏の名残を悼むのに最高だと思うんですけど、どうでしょうかね。