たぬきとくまの台所

平成生まれのアラサーのたぬきとくまの夫婦の台所

食べる琥珀! 卵黄の味噌漬け!

 

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 なんだかいきなりシャレオツな(そうか?)タイトルから入ってきたけれども、まぁとにかく今回は、卵黄の味噌漬けなる料理についてなんやかんや言おうという回だ。

 当家にこの概念を持ち込んだのは、
筋肉料理人さんの(https://www.hotpepper.jp/mesitsu/entry/kinniku/18-00197)と、
白ごはんドットコムさんの(https://www.sirogohan.com/recipe/kimiduke/)の
2つのエントリだ。

 どうも後者、白ごはんドットコムの記述を参照するなら、以前から料理界隈には存在した概念であって、かのエントリはそれを一般的な分量に再調整したものらしい。
 あれだろうか、旧軍の烹炊レシピみたいに「一升」とか「一斗」とか言ったんだろうか。

 まぁ、卵黄はうまい。
 くまは生卵を苦手としているが(それにしたって半熟卵は許せるので勝手なものである)、しかし卵というもののシズル感や風味が嫌いなわけではない。
 塩っ辛い卵黄というものがまずいわけがない、ということについては全く異論なく理解できる。

 しかしそれにしても、生卵は、ちょっとまぁ、そう、まぁねぇ…。

 みたいな、生理的嫌悪感にやられて、当家は――というか、くまはながらく、このレシピに鼻も引っ掛けなかった。
 あと同時に「水分が出た味噌はどうすんだよ」という心配もあって(これはもう「やらない理由探し」でしかなかったのだけれども)、「興味はあるけどやらないだろうな」みたいな枠のなかに長いこと放り込んであったレシピであった。

 しかしそれは、くまの理屈である。
 腹をすかせた呑んべという世の中でもっともたちの悪い生き物であるたぬきには、そんなことは関係がなかった。
 昨今話題のウマ娘をぽちぽちやっていたら、その後ろでたぬきは淡々とお味噌を料理酒でゆるめ、卵を分離し、キッチンペーパーを敷いて、味噌床に浸かった卵を仕込んでいた。
 なお余った卵白はその日、別の全卵を一個混ぜ込んで、卵焼き卵白マシマシみたいな感じになった気がするがそのへんは覚えていない。とりあえず余った卵白はすぐ焼いちゃうか味噌汁に投げ込んじゃうと美味しいし無駄がないよねっていう話。

 閑話休題、そして待つこと一昼夜。
 卵黄の味噌漬けの完成である。
 この段階では、まだ「半熟卵の黄身が味噌味」みたいな、とろみのあるテクスチャであって、本朝式というか、上掲URLのような半透明になったような硬いテクスチャではないのだけれども、これはこれで半熟卵めいてトロトロ塩辛いかんじでめっちゃよい。
 熱々のご飯などにのっけて、脱水されて固くなった外皮を箸で推し割るともう絵面のけしからなさが大変だ。

 そしてこいつは、2,3日ほっておいてもそれはそれで美味しい。
 そうなったらなったで水分が大いに抜けて、琥珀みたいになってくる。これもう、塩辛い、やわらかい、琥珀である。ちびっと箸先になすりつけるだけで酒が飲めてしまい、もう酒でも飯でもなんぼでももってこい、というテンションになってきてしまう。

 琥珀のようになった卵黄は、あまりの粘度に、歯の隙間にねっちり詰まってくる。しかしこれすらもう愛おしい。そこに日本酒を含むともう踊りだしそうになるくらいうまいので、飲める各位、あるいは飯を食える各位はぜひやってみていただきたい。

 そして、このレシピにはとてもよい副産物がある。多少卵黄の水分・成分を含み、ゆるくなった味噌である。
 これを活用したレシピがまたいちいち美味しいのだが、そろそろ記事の長さがあれなので、これについてはまた次回語ることにします。

 とりあえず今回のエントリのまとめとしては「生卵がダメな方も、卵黄の味噌漬け、やってみ」っていうことでひとつ。