たぬきとくまの台所

平成生まれのアラサーのたぬきとくまの夫婦の台所

黄身の味噌漬け副産物;味噌クリームパスタ

 以前のエントリで、卵黄の味噌漬けについて記した。
 そしてその時、副産物として「味噌」が出ると延べたように思う。

 

f:id:tnkmda:20210326191936j:plain

 この、日本酒で緩め、あまつさえ卵黄の成分や水分が出た味噌というのは、当たり前ながら使用後にもともとの味噌容器に戻す事ができない。だから卵黄の味噌漬けを作ったあとには、その旨さを堪能する傍らで、全体の濃度、塩分濃度が下がって保存性の悪化した一定の分量の味噌を、ただちに消費しなくてはならないという別の問題が生じる。

 

 これにあたっての解答のひとつは、お味噌汁。しかも、卵黄の味噌漬けを作る過程で取り除いた卵白をいれたお味噌汁だ。ネギなり何なりをいれてシンプルに作ると手間がなくていいし、なんだったら豚汁みたく具だくさんにしてもいいだろう。
 もうこのあたりはほんとに自由にやればいいのではないだろうか(なげやり。そしてあまりに当たり前の解法に過ぎて、わざわざ紙幅を割く必要性も思いつかない。
 とにかく、各ご家庭の流儀に従って自由な味噌汁をこしらえてみるのは、まぁ面白くないけれども解法の一つです。

 

 そして今回、このエントリで紹介したいのは、パスタだ。
 卵黄の味噌漬けをこしらえて余った味噌を材料として、パスタをつくるのだ

 

 えーー? という疑念の声が聞こえてきそうであるが、話を続ける。
 そもそも、味噌でパスタってどうなのよ、というのは一つクリアしなくてはならない懸案であるような気もする。愛知の某有名喫茶店(?)の「味噌煮込みスパ」ではないけれども、あんまり「味噌+パスタ」という組み合わせは人口に膾炙しているわけでも、市民権を得ているわけでもないように思われるが、どうだろうか。

 

 まず大前提として、味噌+パスタはアリな選択肢だ。
 なまじ某お山で出てきちゃうから味噌味のパスタは偏見を持たれているような気もするけれども、味噌味のパスタは全然美味しいということを、まずは主張したい。

 

 とはいえ。
 ここでおもむろに読者の誰かが、「ほう」と言って味噌汁にパスタを投げ込もうとするのであれば、それはそれで全力で止める。
 しかるべきやり方というものがあるのだ。

 

 一番お手軽うまいのは、サバの味噌煮缶を使ったパスタだ。
 唐辛子とにんにくなり、柚子胡椒なりをオイルで炒め、サバの味噌煮缶をあけて崩す。なんだったら適当な野菜、玉ねぎなんかを加えてもいい。爾後、ゆでたパスタを炒め合わせて食べるわけである。サバ味噌缶が甘辛い向こうから香辛料が食欲をそそり、しっかりとパスタを手繰る(そばは「手繰る」だし弁当は「使う」けどパスタはどんな動詞で受けたらいいんだろう)手を進めてくれる。

 

 さて、このようにして味噌+パスタは全然食えるということで、本エントリ大本命のレシピの紹介に遷移していく。

 

 当家がーー主にたぬきがこしらえたのは、「鴨と葱の味噌クリームパスタ」だ。

 

 なんかさっきのさば味噌缶パスタとの落差がひどいって?
 難しいことはなんにもしないんですよ。当家としてはサバ味噌缶パスタと同じくらいのノリで作れるパスタなのだ。ほんとに。

 

 材料を紹介しよう。必要なのは、パスタのほかに、

・市販の鴨スモーク。やっすい中国産のやつでいい
・長ネギ。いい感じのサイズ感に刻む。青いところも刻んで入れちゃえ。
・適当なオイル
・卵黄味噌漬けの残り味噌
・豆乳

 と、上記のとおりである。

 

 パスタはパスタでいい感じに茹でておいてもらって、同時進行で油を敷いたフライパンで長ネギと鴨スモークを炒め、味噌と豆乳でクリームソースをつくる。よい鴨スモークであれば、皮目を下にして脂を出し、それでもって長ネギを炒めると風味が出てよいかもしれない。

 そこへ豆乳とお味噌を加えるわけだが、あまりグラグラ煮立てると豆乳によくないし味噌の風味も飛ぶので、葱に火が通ったら原則弱火進行だ。グラグラ煮えないように注意しながらクリームソースにパスタをあわせ、絡まったら出来上がりである。特別なことはしない。

 

 で、これがめっぽううまい。
 特に特別なことをしていないが、ねっとりトロトロのソースに仕上がり、パスタによく絡む。

 今になって考えるに、味噌に溶け出した卵黄の成分とか、あるいは長ネギのとろみ成分とかがいい具合に豆乳ソースにとろみを与えるのだと思う。ただの味噌を使うのとは異なり、遠くの方になんとなし卵のケハイがするので、たぶん卵黄のせいだろうが、ソースの成分分析とかをしたわけではないのでよくわからない。とにかく美味しくできるのだ。言及終わり。

 

 で、鴨が葱背負ってやってきた、などというように、鴨と葱はド鉄板のコンビである。
 そしてお味噌汁に葱をいれるように、味噌と葱もまたド鉄板のコンビである。
 また味噌豆乳鍋という概念があるように、味噌と豆乳は相性がすこぶる良い。
 そんな大マリアージュ連合を糾合したようなソースがおいしくないわけあるか? 云うまでもなくめっちゃおいしい。

 

 おもわず当家では「うまい」以外の語彙を失ってしまった。そしてブログ記事用に分析することもわすれ、夫婦の小粋な会話もせず、部活終わりの中学生のように食べ進めてしまった。

 

 このエントリ執筆時点で腹が減っているのもあるけれど、現時点くまとしては、この味噌クリームパスタを作るために、その下ごしらえとして卵黄の味噌漬けをこしらえてもいいかな、などと思う。そんくらいうまいので、前エントリ、卵黄味噌漬けと合わせお試しください。