たぬきとくまの台所

平成生まれのアラサーのたぬきとくまの夫婦の台所

大根葉の餃子がうまい件

「いやー大根葉は食べるものじゃないですうさぎの餌です」
という方には本エントリは無用ですありがとうございました。

 

 と冒頭から読者を選んだところで前置きを話していくけれども、先日、実家から大根の葉っぱがわさっと届いた。

 くまの実家は家庭菜園をしている。

 流通段階では葉っぱをざっくりと切られている大根だが、畑に生えている段階では当然緑の葉っぱが頭の上にわさわさと生えているわけで、そいつを収穫すれば当然、白い根っこのほかに、大量の葉っぱがとれるわけだ。

 くまは、実家で大根の葉っぱを食って育ったし、あれはふつうに可食部だと認識しているので、実家から野菜、とみに大根を送ってもらうときには、葉っぱもつけてくれろとお願いするのだ。

 なお、両親祖父母とかなうなら無農薬、現実的には減農薬くらいで栽培したがるため、実家野菜にはしばしば招かれざる虫さんがついてくるが、くまは虫のたぐいが震え上がるほど苦手なので、頼むから普通に農薬を使ってくれと思っている点は余談である。

 

 さて話を大根葉に戻すけれども、従来の当家では、大根葉といえば梅しらすふりかけであった。大根葉を小口というか微塵というか、とにかく小さく刻んで、ごま油でいためて、しらすと梅干しのたたいたやつを炒め合わせ、醤油と酒で調味し、水分を失うまでカラカラに炒めるのだ。これを白飯と混ぜて食べる。野趣と地味にあふれていてたいそうよい。

 

 しかし、あふれかえる大根葉への対処法がこの一辺倒であると、流石に飽きてくる。そしてこの解法で生産できるのは所詮というかなんというか、ふりかけであって、単体でばんごはん戦線の一翼を担えるほどのキャラではないのだ。

 つまり、この大根葉ふりかけがあってもなくても、晩飯の献立立案には困るわけである。

 

 そこで当家は考えた。

 どうせ大根葉を細かく刻むなら、そのあとひき肉と練り合わせて餃子にしたらいいんじゃないか。餃子ならふつうに晩ごはん戦線で主力になれるでしょ。

 

 そんな着想から爆誕したのが「大根葉ぎょうざ」である。

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 これは、結論からいうけどビールが無限に飲める味です。

 

 キャベツだのニラだのといったお育ちのよい野菜と違い、大根葉はやはり野趣があって丈夫である。塩もみにしてもそんなにシナシナにはならない。しゃくしゃくと自己主張をしてくる。

 野菜餃子のように肉には助攻を担わせる形式では、野菜の自己主張が強すぎ、あんまり晩飯としてテンションのあがらない、野菜炒め詰め合わせみたいな餃子になってしまうのではないか、と当家は危惧した。

 そこで当家では、大根葉を刻んだところに、スーパーでいちばんでっかい単位で売られている豚ひき肉を練り合わせる。大根葉の分量にもよるけれども、まぁ最低でも500gはいれていただきたい。なんなら1キロいれてもいい。主攻は肉にやってもらって、野菜というか大根葉は助攻である。肉餃子Feat.大根葉くらいのイメージでタネをつくるのだ。あとお好みで生姜とかネギとかにんにくとかを足す。

 なお、味付けのほうは、創味シャンタンでも味覇でも香味ペーストでもオイスターソースでも、なんでも美味しかったです。おうちにある調味料を足し合わせてうまいことやってください。

 また、具材にしいたけを微塵にして足しても旨味成分がたされてうまいし、エビを荒く刻んで混ぜても食感が増してたいそうよい。このあたりはご近所のお店の在庫状況、お好み、財布事情などを勘案して「これをいれたらうまそうだ」というやつを各位で模索していただきたい。

 

 で、このタネを片っ端から包み、並べ、焼くわけだが、餃子を蒸し焼きにするに際してはお水でなく熱湯を使うと美味しいですぞ。これ豆な。

 

 で、この餃子がとてもよいのである。

 肉のほうが多いのでガツンとした食べごたえがあり、また大根葉の「葉物の風味」、悪く言えば青臭さ、金属感が強いので、肉ばっか食ってる時のツラさ(アラサー以降になると顕著になってくるあれである)が緩和される。

 そして大根の葉っぱ部分はいわゆる緑黄色野菜に相当する部分であるので、栄養成分的にもけっこう優れている。らしい。

 

 うちはだいたい一回で60個くらいの餃子を包む。ラーメン屋とか町中華換算なら、これは10人前~12人前の計算だ。実際、肉餃子って重いし、いちどきに食べる量となるとまぁ10個以下が具合がよいのかもしれない。つまり二人で食べるとなると5、6食ぶんっていうあたりになるのだろうか。

 しかしてこの餃子を焼くとなると一時に20個は焼かないと収まらない。60個包んでも二人がかりで3食分、下手をすると2食分である。使っている肉の量のわりに足取りかるくホイホイなくなる、そんな恐ろしい食べ物なのである。

 

 まぁ多くのご家庭では家庭菜園なんてやっていないし、畢竟、大根の葉っぱなんて入手することはないと思うのだけれども、もし「大根の葉っぱをてにいれたぞ!」なんてことがあったら、騙されたと思って餃子にしてみてください。美味しいので。