風雲ぬかづけ録4:水気との戦い
不定期連載(?)風雲ぬかづけ録。その4回目は、ぬか床をこしらえ始めた人ならたぶん誰もが直面しているであろう「水分」に関するトピックです。
当家のぬか床担当管であるたぬき、ぬか床をかき回すたびに「ぬか床がみずっぽい」という問題に直面する。職場のぬか床仲間を話しても、みんなそこそこ「ぬか床からどうやって水っけを抜くか」という問題には直面しているらしい。
そも、ぬか床というやつは乳酸菌のパワーを借りてはいるものの、要するに塩漬けを何度も何度も行う閉鎖空間であって、そりゃ野菜の水っけでビッショビショになるのは道理だ。そしてビッショビショになったぬか床というのは、どうやら乳酸菌によるかもしに悪い影響があるらしい。そんなわけでぬか床を拵えている人たちというのは、必然的に「どうやってぬか床の水分量を適切に保つか」というポイントを試行錯誤するのだという。
たぬきがざっくりと調べてみたところ、ぬか床の水分量調整に関しては
・ガーゼとかタオルとかで吸い取ってしまう、という派閥
・スプーンとかで都度水気をすくって捨てる派閥
・水抜きはしないで、ぬかを足して硬さを上げる派閥
等があるらしい。
それらを踏まえて、たぬきは考えた。
単純に水分を邪魔者扱いして、捨てたり、あるいはぬかをガシガシ足したりすることは容易にできるんだろうけれども、もうちょっとこの「水分」というやつを有効につかって、ぬか床の完成度をあげていくことはできないのだろうか?
ーーというわけで、調べてみたところまぁやっぱりみんな同じ問題に直面しているだけあって、いろいろな解決策が出てくるわけですね。代表的なものは「乾物をいれて、水分を吸わせてしまおう」という解決策だ。
代表的なのは、干し椎茸、板昆布、切り干し大根である。当家で試したところ、それぞれ違った特性を発揮していい具合になったので、その結果を紹介しておきたい。
◎干し椎茸
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どんことかのでっかい丸いやつはけっこうお値段がするんだけれども、そんないいやつは正直勿体ないので、訳アリ品というか、不揃いなやつを刻んで干したやっすいやつで十分役割を果たせると思われる。
旨味成分グアニル酸の効果もあるだろうし、また水分の抜けを助長して発酵を促進することも手伝うのだろう。なんとなくぬか漬けの味がまーるくなる気がする。
当家では、なかば肥料としてぬか床にすき込み、回収できたら食べるけれどもそんなに神経質に拾って食べはしていない。細切れだからキリないし。
◎昆布
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板昆布干したやつね。適当なグレードのやつでいいと思います。当然良い昆布であればあるほどぬか床のクオリティが上がることは言うまでもない。
こいつはグルタミン酸要員で、同時に多少の水を吸う担当。直接食べるわけではないので、うちではぬか床の一番底で、味の土台になってもらっています。
◎切り干し大根
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むっちゃ水吸う。でもむっちゃバラバラになる。
ガーゼか何かでひとまとめにして漬けると一家離散の悲劇が避けられる。
切り干し大根のぬか漬けとして食べてもよし、柑橘系の汁で和えてもよし、ごま油とにんにく足してナムル風にしてもよし。切り干し大根は間違いなく水が吸えて即座に一品になるのでとてもおすすめ。
その他、世間には並み居る乾物があって、ひょっとしたらぬか床とさらなるベストマッチをするやつもいるのかもしれないが、当家での実践レポとしては以上です。
「こんなやつが具合よかったぞ!」っていうレポート等あれば教えて下さい。