たぬきとくまの台所

平成生まれのアラサーのたぬきとくまの夫婦の台所

万能にして無敵。ねぎべーぜ。

 今日のお題は表題のとおり「ねぎべーぜ」である。

 まぁ要するに、ネギで拵えたジェノベーゼソースのことだ。

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本当はこの絵の5倍くらい食べてます

 

 

 最近、当家ではフードプロセッサーを導入した。そしてコイツをぶいんぶいん唸らせ、いろいろなものをみじん切りにしては料理をしている。

 ネットの海を徘徊し様々なフードプロセッサー活用レシピに目を通す中で、当時実家からの救援物資として冷蔵庫に唸っていた大量のネギ・わけぎを賢くたくさん使い切れる一種の「大量消費レシピ」として、そしてまた激ウマ調味料として、あるレシピが、当家の生態系(?)にまたたく間に定着した。

 今回は、そんな「ねぎべーぜ」について紹介したい。そしてみんな大いにQOLをあげていただきたいと思う。

 

 さて、この「ねぎべーぜ」について言及していく前に、ある事柄についてクリアにしておかなくてはならない。

 「ネギの青いとこは可食部か否か」という問題である。

 

 もしも「全然普通に食うとこでしょ」とお感じなのであれば、たぶんこのレシピは、全然抵抗なく受容していただけるものと信じる。

 しかしもしも「いや、あれは捨てるところだけど臭み消しに使うことはあるよね」と感じておられる場合には、「ねぎべーぜ」はいささか抵抗のあるレシピになるかもしれない。なんせ主たる原料はネギの青いとこであるからして。

 

 そもそもこのレシピ「ねぎべーぜ」は、ホテルオークラの料理長を務めた根岸さんが考案した、日頃の料理で捨てちゃう「ネギの青いとこ」を活用するためのレシピである。みんなご存知ジェノベーゼソースに見た目が類似していること、そして考案者が根岸さんであること、そしておそらく材料がネギであること、そのあたりが合わさって「ねぎベーゼ」というらしい。そのあたりは、下記のレタスクラブが詳しいので各位読んでおいてください。

 

www.lettuceclub.net

 

 本義的には、ジェノベーゼソースにおいてバジルが担う部分をボイルした長ネギの青いところで代替するレシピなので、オリーブオイルや松の実、にんにくと合わせて粉チーズがふんだんに入るのだけれど、上掲の記事内で言及されているとおり、

パルメザンチーズはよく合いますが、入れないほうが幅広い料理に使えます。料理に応じて入れてくださいね

とのことなのでその助言に従い、当家では基本的に粉チーズを入れない、葱ペーストの状態を「ねぎべーぜ」とひらがなで表記・呼称している。本稿の記述もそれにならう。

 あ、作り方とか材料とかはもう全面的に上掲レタスクラブを見てください。ひとさまの書いたものを我が物顔で開陳するのは違うと思うので、ここでは製法についてはなんら言及しません。

 

 さて、そんな「ねぎべーぜ」、チーズを入れなくとも、にんにくのパンチとオリーブオイルの濃厚さ、ねぎとオリーブオイルの爽やかな香味に松の実のナッツ感脂感が加わって全然おいしい。くまは昼メシなどに、食パンを焼いて「ねぎべーぜ」をあしらって食べる。なんだかシャレオツなお店に来たような心地がする。

 もちろん、ジェノベーゼソースを原型にしているからにはパスタとも相性抜群、粉チーズでコクを足せばロングでもショートでも、どんなパスタもどんとこいだ。ああでも流石にラザニアは手に余ると思うな。

 とりあえず今夜は、豚ロースを塩コショウであっさりソテーして、ねぎべーぜをあしらって食べますぐふふ。ワインが捗るぜ。

 

 ――というわけで、ネギでジェノベーゼソースみたいなことをやるとめっちゃうまいぞと、それだけ言うつもりのエントリだったのだけれども、記事を書きながらあることに気がついた。

 一般家庭には、普通長ネギの青いところなんかありはしないのである。いやあ困った、記事の根本が揺らいだぞ。

 

 スーパーに売ってる長ネギは輸送とか諸々の都合で頭を落としてあり、青いぶぶんはほんのちょっぴりしかない。身の部分というか、盛り土をして白く仕上げた部分でもねぎべーぜになることはなるのだろうが、色合いといい風味といい「これじゃない感」が強い代物になるのは疑いない。

 当家では、実家からふんだんに送られてきた「わけぎ」が傷みかけたのであわてて茹でてソースにした次第だが、当家のように、家庭菜園を自宅や実家にかかえてでも居ない限り、ネギの青いところだの「わけぎ」だの万能ねぎだのといった代物は、おそらく間違いなく、野菜室で唸ってなどいはしないだろう。

 

 かといって、「ねぎべーぜ」が成立するほどの分量のわけぎ万能ねぎ長ネギの頭をスーパーで買って用意してくれなどというのはコスパが悪い事おびただしく、到底推奨できない。

 

 なので、もし万が一にも、実家からだのお隣さんからだのといった退っ引きならない事情で――あるいは死ぬほど長ネギを買って青いところが余ったなどのどうしようもない事情で、なんとかしてこいつを消尽しなくてはならぬと、そういう場合にのみ、「ねぎべーぜ」をお試しいただきたい。

 悪しざまな言い方をすれば「邪魔者を片付けるレシピ」なのであるけれど、あんまり「ねぎべーぜ」のソースとしての出来がよいものだから、いっそう邪魔者たちが欲しくなってしまうことは請け合いである。

 鮮度とか流通とか規格とかいろいろ問題はあるのだろうけど、ネギの青いところ、需要はあるのでもっと売って欲しい。