たぬきとくまの台所

平成生まれのアラサーのたぬきとくまの夫婦の台所

風雲ぬかづけ録1 「もみーな」はいいぞ編

 たぬきの家にはぬか床がなかったらしい。

 くまの家では祖母が専業主婦で、ぬか漬けは日常食であった。まぁそれはいい。

 問題は、目下ずぶの素人ながらぬか漬けという底しれぬ沼に挑んでいるたぬきが、ぬか漬けというカルチャーの、まったくの門外漢であったことだ。

 

 我が家では、ぬかどこの担当はたぬきである。くまはああいうねとねとしたものは好かない(なので、くまはパンもハンバーグもこねられないし、幼少期には泥団子遊びをしたこともなかった)。それゆえ当家では、もっぱらたぬきが、ぬか漬けがどうしたら美味しくなるかと試行錯誤をしている。

 

 今後幾度か当ブログでは、ぬか漬け試行錯誤の記録をアップしていきたいと思っている。当家われわれ自身の備忘録のためだが、もしもぬか漬けという沼に挑まんという人がいるのであれば、その道行きの手がかりにでもなったら幸いだ。

 

 閑話休題、とにかくたぬきとぬか漬けの話である。

 何年前だったか、近所の飲み屋でおしんこを頼んだところ、たいへんうまいぬか漬けがでてきた。それにいたく感激したたぬきは、このうまいつけものをもっと食べたい、と強く考えたらしい。

 

 しかし、ぬか床の相手というのは、とかく「めんどくさい」。いやもうちょっと言葉を選ぼう。「とかく手間がかかる」。朝晩2度ぬか床をかき回してやるのは、めんどくさがりの当家にとってはなかなかの骨だったのだ。

 

 そこでたぬきはめっぽう探した。そして掘り当ててきたのが「もみーな」である。

 

 

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 これはよかった。

 ぬか床というのは(ご存知のかたも多いであろうが)最初は捨て漬けという作業が必要である。これにより、ただ糠と塩とだし原料と水のペーストにすぎないところに、野菜の表面に住み着いている乳酸菌を加え、正しく「ぬか床」となさしめるのだ。これがまぁすっげーめんどくさい。

 その点もみーなは、最初からいい具合に醸されて味もついたぬか床がパックの封を切ったら即使えるので、喜んで野菜を漬けた。

 

 以下は余談だけれど、もみーなは実際良くできている。チャック付きビニール袋に入っており、ぬか床用の容器がいらない。ビニール袋なのでヌカ臭さも漏れてこない。

 そして「ぬか床」じたいの「味」も抜群によい。なんか信州味噌とか入っている。とても深みがあって「いい塩梅」のお漬物が作り放題となる。

 とりあえず「ぬか漬けには興味があるが、ぬか床を育てるのは億劫だ」というご家庭にはぜひ使っていただきたい。ぬか漬けスターターパック、ビギナー向けパックとしてはこれ以上のものは無いんじゃないかなって思う。もみーなはそのくらい良かった。

 

 閑話休題、ーーそして程なく、野菜から出た大量の水分でもみーなは死んだ。

 たぬきは悲しみに暮れながら、最後漬けとして魚や肉を漬け、焼いて美味しく食べた。

 

 何ヶ月かもみーなを使い、その屍の上でたぬきは考えた。

「これはコスパが悪い。」

 もみーなは一人300円くらいする。そしてぬか床として機能するのが1週間強だ。もちろん用法用量を守って使えばもっと持つのかもしれないが、ウチの野菜の投入量では、彼女のキャパシティはそれが限界だった。

 ざっくり計算するに一月のぬか漬けライフにはもみーなが3人くらい必要で、つまるところぬか床それ自体の費用として月1000円くらいするわけだ。ここにぬか漬け代ーーつまり野菜の代金は入っていないから、毎日野菜代が別途かかることになる。

 

「日本古来の漬物が、そんな高いわけあるか」

 あまりのランニングコストにたぬきは強く憤り、他になんか手がないかと日夜スマホを握りしめ、理想のぬか床を求めて電子の海をさまようのだった。

 

 

ーーといったところで、今回はここまで。

とりあえず今回は、「もみーな」はいいぞってところだけ、覚えて帰ってくださいな。

 より良いぬか漬けを求めるたぬきの戦いは今後も続く。