たぬきとくまの台所

平成生まれのアラサーのたぬきとくまの夫婦の台所

ワカモりワカモればワカモるとき

 ワカモレ。ガガモレとかグゥァカモーレとか言うこともあるらしい。めんどくさいので以下ワカモレで統一する。

 

 要するにアボカドディップである。メキシコ風の。テクス・メクス(テキサス・メキシコ)料理のなかでは、わりあい人口に膾炙しているタイプのやつだ。

 カルディおよびエスビー食品のちからをかりると、これが割合簡単で美味しいので、ぜひこの機会にご紹介したいと思う。

 

 世の中には、ワカモレミックスという商品がある。すりつぶしたアボカドに混ぜると、メヒコな風味のワカモレになるやつだ。当家は、コレをたぬきの友人から教えてもらった。

 ソレ以前、当家にアボカドを食べる文化は存在しなかった。アボカドにわさび醤油をかけるとトロみたいでうまいよ、みたいな、珍味枠としてのアボカド概念しか存在しなかったわけである。

 しかしワカモレ概念が導入されるや、当家では、アボカドはワカモレにして、トルティーヤチップスにつけて食うもの、という立場にて盤石の地位を築くに至った。今となっては、アボカドが安くなるときには必ず買ってきて、ワカモレをこしらえ、トルティーヤチップスを添えて、ワインのお供にしている。

 

 ここで大切なのは、ワカモレってーのは結局何味なのか、というところだ。

 基本的には塩とライムだ。そこになんだかんだとスパイスが入っていろんな風味がつくらしい。とりあえずは自家製するならライムさえあればいいらしい。というのは何かで読んだことがある気がする。

 ただ、ワカモレミックスに慣らされた身からすると、どうも塩+ライムだけでは味気ない。やっぱりワカモレシーズニングを買ってきてなんとかするほうがいい。ワカモレワカモレ味であって、酸っぱい塩味ではないような気がしてならないのである。

 

 で、市販されているワカモレミックスには当然当たり外れがある。

 昔カルディで手に入ったのは、ローリーというブランドのやつ。これは文句なくうまかった。しかしもう手に入らないので考えないものとする。

 あと、輸入食品店なんかで手に入るらしいのは、オールドエルパソというブランドのやつ。これはまぁぼちぼちうまい。

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オールドエルパソ グワカモーレシーズニング 20g
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 そして、今カルディで手に入るのがプロデュースパートナーっていうブランドのやつ。正直に申し上げてそんなにおいしくない。

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プロデュース パートナー ワカモレミックス 28g
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 あと、気の利いたスーパーなら、エスビーのちいちゃな袋のスパイスシリーズで「ワカモレ」っていう袋がある。こっちはオールドエルパソくらいおいしい。 

 


 

 また、カルディには瓶のワカモレペーストが売っているが、なんか乳製品めいた風味がして当家ではイマイチ評判が悪かった。まぁ一度試してみようと買うのは否定しない。そのへんは自己責任で。

 

 とりあえず、ワカモレを初めて食べるのであれば、エスビーかオールドエルパソをお勧めします。プロデュースパートナーの場合は、塩気とライムを補うと美味しい。

 

 ワカモレに追加する具材としては、水に晒した玉ねぎの微塵とか、細かくしたトマトの水切りしたやつ等がよい。ひょっとしたらニンニクも良いかも知れないが試したことはない。このあたりは、細かいレギュレーションがあるわけではないので自由にやってください。

 とりあえずメヒコな雰囲気のアボカドペーストができればそれでいいから。

 

 あと、ワカモレを食べるときに欠かしてはいけないのがトルティーヤだ。

 味のないドリトスのような「トルティーヤチップス」がカルディで売っている。当家のイチオシはこいつだ。ナチョチーズとかの土台として使うアレである。

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 あるいは、小麦粉から作ったフラワートルティーヤ、またとうもろこし粉を焼いたコーントルティーヤとか、よりパンめいた方向に手を出しても良い。これらはレンチンしたり焼いたりして食べる。フラワートルティーヤは要するに薄焼き無発酵パンなので特別配慮は必要なく、ただたんに温めればいいのだが、コーントルティーヤは焼かないと全く美味しくないので注意が必要だ。

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 まぁそんなこんなで、ワカモレという美味しいアボカド料理があって、トルティーヤにつけて食べると美味しいよっていう話。お近くのカルディや、スーパーのスパイスコーナーで買ってみてください。

 

 前の筋子回よりは圧倒的に安く上がるので、何かの折にお試しいただけたら幸いです。

おそうめんバリエ:冷や汁

 先日、某所より「もっとそうめんの話をかけ」というお声を頂戴したので、素麺の話もしていこう。もう9月になっちゃったけれども、でもまだ暑い日はあるわけだし。涼し気なものをサッとつくって、啜って、おしまいにしたい、そんな日だってまだあると信じる。

 

 そんなわけで今回ご紹介したい素麺のたれレシピは「冷や汁そうめん」だ。

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 近頃ずいぶん流行ってきたので、冷や汁というものをご存知ないというかたはおそらくあんまりおられないのではないかと思う。宮崎名物、冷たくキンキンに冷やした、焼き魚、キュウリ、茗荷、豆腐等を具材にしたお味噌汁を温かいゴハンにぶっかけて食うあれだ。

 

 こいつ、丁寧にホンモノを作ろうとするとべらぼうに手間がかかる。ごまをはじめ種子類を煎って擦って、焼き魚焼いてほぐして擦って、そこへ味噌入れて冷水入れて、別途みじん切りとか塩もみとかしておいた野菜類を加えて温かいご飯にぶっかけるわけだ。これはねぇ、流石にお店屋さんの仕事だと思うんですね。

 そんなわけで、冷や汁っていうもの自体をめんどくさがって、美味しいのにも関わらず随分長いことやっていなかったのだけれど、皆さんご存知水産業大手ニッスイの公式ページで興味深いレシピが紹介されていた。

 

https://www.nissui.co.jp/recipe/00699.html

 

 サバ缶で冷や汁、である。確かに魚の焼けた匂いを汁に付加することはできないけれども、またごまをはじめとする種子類の香ばしい風味もあまりつかないけれども、限りなく冷や汁に近似するものを、たいへん手軽に作ることができるというじゃないですか。

 

 

 ヤバいですよねこれ、サバ缶開けて中身ほぐして水入れて味噌入れて野菜乗っけてゴマ振ったらもうおしまいですよ。

 

 で、当家ではここから豆腐を省き、あくまでサバ缶の冷たい味噌汁(濃いめ)としたうえで、おそうめんをざぶっと浸して啜り込んでやろうと、そう考えたわけなのです。やってみました。

 

 その結果がどうだったのか。

 結論から言って最の高。

「食べごたえのあるそうめん」っていいな、っていう感じでした。しかもそうめんを茹でる以外、火も使わないんだこれ。

 もっとパンチがほしい! っていうときには「食べるラー油」をひとたらしすると抜群にジャンクでパンチのある味になるので、なんかパワーが欲しいときにはこっちもおすすめだ。 

 

 だいたい普通のおそうめんというのは、軽い食べ物の代表格だとおもう。食欲なくてもスルスルいけていいよね、夏バテしがちな時期向けだよね、みたいな。

 ただこれは、そもそもそんなに食欲減退してないよ、という人にとっては、軽すぎて物足りない食べ物だと思うのだ。

 

 実際、ちょっとイメージしてみて欲しい。昨今どのご家庭にもクーラーがあるでしょう、室温が外気温と同じ35度とか、そういうことはないわけだ。夏バテの程度が、トラディショナルな「そうめん」の時代よりも低いと思うのだ。だってそのくらいの対処を取らないと昨今は人死にが出るもん

 そこでそうめんを茹でた、氷水で冷やした、さぁお食べ、って言われてもさ、「あのう、おかずはないんですか」ってなるじゃないですか。

 

 ただのめんつゆは単に調味料であって、これをおかずとして戦線を構築することは大変むずかしいけれども、魚入り野菜入りの冷や汁であれば、まだおかずとして戦えると思う。実際、完全に魚や野菜をペーストにして「調味液」として均質化することはご家庭レベルでは無理なのだ。どうしたって味や食感にはムラができる。

 ここがおかずポイントである。非均一さによる食感が楽しく、味も楽しく、香気も楽しい。

 

 一昔ほど前であれば、「ええ、味噌汁が冷たいんですかァ」という未知の文化に対するギャップが力強かったように思うけれども、しかし冷や汁が随分市民権を得てきた昨今ならば、そこまで「気分的になんかやだ」ということもないだろうと思う。

 

 備蓄の缶詰を入れ替えるついでに、サバ缶で冷や汁を作って、素麺をすする。これ、夏の名残を悼むのに最高だと思うんですけど、どうでしょうかね。

 

夏と秋のあわいに、絶品つまみ。

 もう夏も終わる。しかし夏が去ると同時に夏野菜が根こそぎ市場から消えていくわけではない。そして今は鮭のはしりである。いい感じに筋子が出回りだした頃合いだ。

 そんな今だからこそできる映え映えなグルメを先日見出したので、ぜひシェアしたいと思う。

 

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 タイトルの通り、「山形のだし」に「醤油イクラ」を混ぜ込んだシロモノである。小鉢にしてよし、豆腐に絡めてよし、御飯のお供によし、そして当然お酒とだって戦える、汎用性最強クラスの一品だ。

 まぁそれなりに手間はかかるんだけれど、その分たいそう美味しいので、ぜひやってみてくださいね。

 

山形のだしをつくる。

 

 まず、ご存知でしょうか山形のだし

 地元では全然知らない文化で、大学に行くってんで上京して、スーパーにいって、その時初めて知った漬物(?)の文化だ。夏野菜を刻み、ちょっと塩とか醤油とかで味をつけて、あとお好みに応じて昆布でとろみをつけたりするあれですね。山形では単純に「だし」と呼称されているが、いわゆる「だし汁」との差別化のために「山形のだし」と呼称されているらしい。なお「山形のだし」は某社の登録商標だそうだ。

 

 閑話休題、こいつをぜひ自宅で作ってみていただきたい。

 この度「だし」を自作して理解したのだが、こいつは自作するほうが圧倒的に「かゆいところに手が届く」。野菜類を細かーーーく刻んで昆布のとろみでスルスル飲むようにたべられるレシピにするもよし、敢えて荒く刻み昆布も入れないでザクザク食べるお漬物感覚で仕上げるもよし。要するに刻んだ夏野菜のお漬物であって、とろみや味付け、具材というのは枝葉末節の副次的なマターであると理解した。

 

 代表的な具材としてはキュウリとナスだろうか。そろそろキュウリは高くなってくる時期なので、秋ナスを主体に、キュウリは少なめで、あとこれも終わりかけだけどミョウガちょっとと、紫蘇の実を多少入れたりしてもいいかもしれないね。オクラが入ってもいい。あと昆布を入れたり、めんつゆや塩で味をつけたりする。以下の具合である。

 

・夏野菜 向こう3日で食べ切れるくらい

・茗荷 あれば

・昆布 お好みで

・塩 塩もみ用。塩味が良ければ味付けにも。

・めんつゆ お好みで。

 

 なんかこれ上の表なくても全然困らない感じですね。とろみのある感じに仕上げたければ、がごめ昆布みたいなヌルヌルの強いやつがいいですよ。

 

(昆布刻むの、面倒だったので、我が家もこれが欲しい)

 

このあたりはもう本当好きにしてほしい。山形のだしらしきものが仕上がればいいのである。

 

 今回のエントリの料理は、本当夏と秋の間にあるツクツクボウシの残響というか、奇跡的な季節の重なりにわずかだけ楽しめる皆既日食めいた料理であるので、そのへんの「ソレ別に旬の盛りじゃないんだよなぁ」っていうご意見は飲み込んでください。

 

 

筋子をほぐして漬ける

 

 山形のだしができたら、つぎは筋子の支度だ。

 この時期、たぶん「お家で醤油漬けにするんですよ」みたいなノリで、醤油漬けのタレとセットになった筋子が売っていると思う。それなりにお値段は張るのだが、イクラの状態までバラされた醤油漬けの状態で買ってくると更にお高いので、ここはひとつ話の種にとおもって、お家イクラに挑戦してみませんか。

 

 

 

 詳しい工程は、よほど写真つきでわかりやすいサイトがなんぼでもあるので、そっちをググっていただきたい。とにかく肝心なのは「筋子をほぐしてイクラにするのは難しくないよ」ということである。

 めんどくさいというご指摘は全くそのとおりであるので、「ウチは醤油漬けを買って済ませるぜ!」という手が使えるならそうしてしまってください。

 

 とにかく卵巣からたまごを引き出し、よく研いでキレイにし、煮切った酒と味醂を主軸とする醤油ダレに浸すこと半日から一晩でお家イクラになる。なります。なりました。ここまででようやく、下ごしらえが終了だ。

 

◆まぜる。

 

 さて、ここまでにより、山形のだしイクラ醤油漬けが揃ったとする。

 あとは適量同士を清潔な匙で掬い、任意の容器で軽く混ぜてください。それだけです。矢でも鉄砲でももってこいな感じの最強おかず兼おつまみの爆誕です。

 

 山形のだし、という製品は別に一年中売っているし、イクラ醤油漬けだって年中売っている商品だ。それらを混ぜて食べるのだって、別段わるくないとは思う。

 とはいえ、今このタイミングなら、旬が終わろうとしている夏野菜で作った滋味ある「だし」と、旬が始まっていい具合の「いくら」の両方をいい感じで楽しむことができる。

 もし興味があれば、この機会を逃さずにチャレンジしてみていただきたい。

古参調味料:煎り酒

 煎り酒。知ってますか。

 

 それなりに料理をする方だったらご存知だろうと思う。日本酒一升と鰹節と梅干しで作る、江戸期の代表的な調味料だ。いまのように醤油が庶民みなに一般的に用いられるようになったのは割合最近の話であるようで、ソレ以前、醤油のような「塩っ辛い調味料」のポジションには煎り酒が居たのだという。

 

 あ、これ伝聞レベルの話をそのまま正直に書いていますから、人に話すときはちゃんと裏付けを取るんですよ。

 

 話が若干ずれたけど要するに、日本酒でかつおだしを取って、塩っけは梅干しで足して、それをうんと煮詰めたやつだ。なーんとなし、味や風味の方向性は想像がつくと思う。

 

 ただ「レシピを知ってて味の想像ができる」ことと「家で作る」ことは全く別問題である。大量の日本酒なんぞ飲むに決まっている(そこか)。そこに鰹節をわさわさ加えてーーったって最近はどこもだしの素に切り替わっていて、鰹節なんか薬味程度の小袋しか用意がないお家が大半だろう。梅干しだっておいてないお家が多いのではと思う。

 そして一升以上できる液体を半量以下まで煮詰める手間たるや、なにかと忙しいなかで制作される家庭料理とは全く相性が悪いと言わざるを得ない。

 

 当家としても、煎り酒に興味はあった。しかしそれを自作しようというのは、料理には興味津々な当家といえども、全く現実的な考えだとは思われなかった。

 しかし世の中というのは広いものだ。煎り酒、売ってました。

 

 カルディに売っているよ。通販でも手に入る。まぁ結構お値段はします。

 でもね、これがきっちり値段分うまいんだわ。

 

 当家としては、「お刺身の調味料にする」のが一番美味しいと思っている。というかもったいなくて煎り酒の存在感がたしかに出てくる料理にしか使えない。300mlで1000円以上するものを、気軽に煮物や炒めものにブチ込むことは怖くてできぬ。

 あ、でももう時期過ぎようとしているけど冷製パスタの味付けだとか、高い調味料であることに目をつぶって鶏肉とズッキーニの炒めものなんかにジャッと回しかけて味付けするとか、そういった用法でぜんぜんおいしいです。

 

 閑話休題、とにかくイチオシはお刺身ですお刺身。そこに煎り酒を垂らして食うのがめっぽううまい。

 ただし、合わせる魚には縛りがある。白身、光り物、貝類、エビに限る。要するに赤身以外ってことだ。赤身相手には、全く戦えないのだ。

 

 まぁ考えてみれば当然の話で、赤身の魚をありがたがって食べるようになったのは最近だ。マグロは長く下魚として扱われてきたし、そのトロなんて、猫すらまたいで通るってんでネコマタなんて言われていたと聞く。そういった味の強い魚を食べる文化、脂の強い魚を食べる文化は、煎り酒が醤油に取って代わられちゃってから生じたムーブメントであるように思う。

 全く根拠のない話であるけれど、むかーしむかしのマグロが下魚であった時代というのは、醤油が普及していなくて、煎り酒でマグロ食っても美味しくなかったから、あんまりいい扱いをうけなかったのかなーなんてことを思ったりもしている。それが醤油の普及によって、「あっこれ醤油で食うとうまいじゃん」的なことで価値が入れ替わったのかなって。

 まぁ、学術的な裏付けとか全然とってなくて気分で喋っていることなので、あんまり真には受けないでください。

 

 入手が面倒な調味料で恐縮だけれど、お近くにカルディがあれば、そこで入手が可能です。売り場には無いかも知れないけど取り寄せをかければなんとかなるよ。

 食生活を豊かにする「煎り酒」。ぜひ一度でいいからお試しいただきたい。高いけど、高いだけのことはあるから……!!

 

風雲ぬかづけ録3 知られざる「雪室ぬか」編

前のエントリはこちら。

「ぬか漬け」としてカテゴリも作ってあるので、よろしければ合わせてご覧あれ。

 

 

 さて、ぬか漬け概念が当家に導入され、イカス容器も仕入れ、しかしぬか床の培養には失敗してから約一年が経過した。

 そんな折、たぬきは天下御免のオサレスポット表参道に足を運んでいた。

 たぬきは持病の都合で、表参道の某病院に定期的に通っているのである。

 

 予約制でもないので、待ち時間だのなんだので数時間を、表参道というオサレの街で潰さなくてはならない。毎年一度の通院の日、たぬきは表参道をはいk…散策したり、カフェでまったり過ごしたりする、らしいぞ(文章を書いているのはくまですので実際はわかりかねます)。

 

 しかしカフェだの散策だので何時間も潰すことはできない。そんな折たぬきは、表参道の新潟物産館、ネスパスへ赴く。夕飯のおかずを増やしたり、物産(酒やツマミ)を見たりする。

 

www.nico.or.jp

 

「病院にかかった」ついでに物産店へ行って酒とツマミを買ってくるたぬき。言うまでもなくたいへんな飲兵衛である。

 閑話休題、あるときたぬきはいつもの通院でいつものようにネスパスへ趣き、そして運命の出会いを果たした。我が家のぬか復活のきっかけ、希望の嚆矢「雪室 ぬか」であった。

 

ecodepa.jp

 

 定価は1600円。しかしこの時はたまたま売れ残り、半額の800円まで落ちていた。

 既にいい具合に醸され、漬けるだけの状態のぬか床。こいつなら、いい具合のぬか床菌を培養して増やし、お家ぬか床を復活させることができるのでは!?

「捨て漬けをしてぬか床をこしらえる」という初心者がつまずきがちな部分を市販のうまいぬか床、しかも信頼できる米どころのぬか床で置き換えてしまえば、当家でも美味しいぬか床をつくれるのでは!?

(実際、この頃無印良品からぬか床が発売されて大いにバズり、当家でも興味があったのだが、品薄で手に入れる事ができなかった)

 

 たぬきはそういきり立ち、一も二もなく「雪室 ぬか」をひっつかんでレジへ駆けた。当家のぬか漬け、新シーズン開始の号砲が鳴った瞬間であった。

 

 くまはぬか床の再開には大変懐疑的であったが(なんせスッポリとぬか床のことを忘れて1年過ごしたたぬきと違い、くまは1年「この失敗ぬか床どうすんだ」と思いながら1年過ごしているので)、たぬきはめげずに、例の野田琺瑯のタッパーに「雪室 ぬか」を撒いて、カブをうずめた。

 

 そして翌日、浸かったカブはお店屋さんのような素敵クオリティに仕上がっていた。

 やっぱ、シロートがゼロからぬか漬けスタートとかやるもんじゃないですわ、というのと、お高い、美味しいぬか床はやっぱりすげーわ、というのと(調味料としてそのまま食えそうな美味しいぬか床だった)で、当家ふたりは大いにテンションを上げた。

 ぬか床の正解って、これか。

 そう理解した当家は、この「雪室 ぬか」を種菌として、去年の残りのいりぬかを足して継ぎ足していくことに決めたのだったーーといったところで、今回はこれまで。

 

 ぬか漬けに関するあれやこれやはまだまだ続く。

 現在に至るもぬか床は継ぎ足しされており、水っけが多かったり少なかったりいろいろあるけど元気に美味しく浸かっておりますよ。

 

 

 

うまいぞ、すだちあゆ

 気がつけばもう晩夏である。立秋はもうすぎてしまったので、暦の上ではもう秋だというのが信じがたい。しかし2週間もすれば9月になってしまう。

 このことは、当家にとってちょっとした事件である。

 鮎の時期が、終わるのだ。

 

 もうこんな時期になってしまったけれども、せめてまだ食えるうちに鮎の話をしなくてはと思い、慌ててブログを書いている。

「こういう記事は旬の走りに出せよ!」というのはまったくおっしゃるとおりであるけれど、しかしかといって1年寝かして来年の初夏に、なんて悠長なことを言っていたら絶対忘れてしまうので、どうかご勘弁いただきたい。

 

 鮎、お好きですか。

 スーパーの片隅を占めていますね鮎。そろそろ終わる時期ですけど、しかしまぁあんな美味しい魚がよく居たものだと思う。はらわたまで食える数少ない魚だ。

 

 夏は鮎、秋にはサンマ。ハラワタが旨い魚の2巨頭である。方や草食なので、もう方や消化管が大変短くて内容物が残留しないので、生食が許されるらしい。まぁ詳しいことはよく知らないけど美味しいからそれでいい。

 

 閑話休題、鮎には天然と養殖とあるじゃない。多くの場合、われわれ庶民の手に入るのは養殖鮎だ。

 当家夫婦の郷里は岐阜なのだけれど、岐阜に暮らしているからといって特段天然鮎へのアクセスがしやすいなんてことはない。長良川とかなんとかで上がった天然鮎はしかるべき手段で然るべき料亭や料理屋に流れていく。

 川魚を食う文化というのは岐阜にはたしかにあって、ちょっと気の利いた料理屋さんへいったり、あるいはご家庭での晩飯の選択肢として鮎というチョイスが浮上する機会は、おそらく関東や近畿一般の方よりは多かったのではないか、とは思うのだけれども、とはいえ所詮は庶民の家の話であるからして口に入るのは当然安価な養殖鮎であった。

 

 しかし養殖鮎は、果たしてほんとに美味しくないのか。天然の一人勝ちなのか。

 そういうもんなんじゃないの? 価格差が厳然としてあるんだし。ーーと、なんとなくそう思っていたのだが、しかし先日、養殖鮎も生産者の努力によって、今めっちゃうまいんだぞっていう事がわかったので、この記事を書いている。前置きが大分長いけどそれだけ思い入れのある食材なのだ。ご勘弁ください。

 

 さて本題に入っていくのだけれど、去年「すだち鮎」なるものに出会った。

 鮎養殖といえば和歌山がメッカであるらしいのだけれど、こいつは徳島産、名前のとおりすだち果汁配合の餌を食って育った養殖鮎だ。

 

s-iwasaki.com

 生産者さんは、ある時「なんで俺、天然鮎と張り合ってんの」「養殖鮎ならではの良さってものがあるでしょう」と天啓を得、最強の養殖鮎づくりをはじめたらしい。そして徳島ならではの地の利を得、この世に生まれいでたのがすだち鮎である。

 

 ーーなどと書くと仰々しいが、なんのことはない、当家では普通にスーパーで買った。いつもあるわけではないにせよ、うまくタイミングが噛み合えばスーパーに並ぶくらいには販路があって、ポピュラーなブランドであるらしい。

 しかしこれが、その入手のお手軽さとは裏腹にすごいんですよ。

 

 当家がびっくりしたのはまず見てくれである。毎年恒例の鉄腕DASHで学んだことだが、うまい鮎には「追星」という模様ができる。体側の黄色い斑点だ。これがあるやつは大きく育っておりうまいという。大変良く育ったやつには追星の追星すらあるとかなんとか。

 これはとっても環境のよいところで育った鮎にしかないもので、大半の養殖鮎には追星がない。ちょーっとこいつ体側黄色いか? くらいが関の山だ。

 しかし「すだち鮎」は多くが追星を持っている。この時点でもう丁寧に上手に育てられたことが伺い知れる(などといきり立っていますが門外漢です)。

 

 見てくれにびっくりしたらば、次には嗅覚で驚く番だ。鮎は香魚との異名も保つが、しかし養殖鮎の多くはそんなにいい匂いはしない。しかし「すだち鮎」はものすごく青い、ウリ科の香りが強いのだ。鼻から入ってくる情報は完全にキュウリやシロウリのそれである。でも持ってる手からは川魚のぬとぬと感がする。何触ってんだかちょっとわからなくなるぞ。くまはなったぞ。

 

 さて、見て嗅いでびっくりしたら、あとは塩振って焼こう。当家の魚焼きグリルはこわれているので、苦渋の決断ながらフライパンで焼いた。そうしたらば、えらいことになった。

 串焼きの魚から、脂がジブジブと煮え立って垂れ落ちる絵面、よく見るでしょう。シズル感たっぷりでそそりますよね。

 あの脂がものすごく出、フライパンで焼いているので当然鍋底に貯まる、結果、なんかもう焼いてんだか油煮にしてんだかわからないくらいの騒ぎになるのだ。この時ほど、当家にまともな魚焼きグリル、贅沢をいうなら七輪があればと思ったことはない。

 

 で、なんかかんかあって鮎が焼けたとする。そうしたらあなた、あとは食べるだけですよ。焼いてなお香るウリ科の青い香りとか、一段深いコクと苦味のワタの味とか、もうね、たまらんです。記憶だけで呑めそうなくらい。

s-iwasaki.com

 

 今年、まだ間に合うかな。以前問い合わせたときには、メールをくれたら個人通販やるよ的なお返事を頂いた気がしますので、気になる方は問い合わせてみてくださいね。

 鮎の話、おわり!

 

夏、ひやしおでん。

 当家としては、夏はおでんの時期であると信じる。

 ーー「正気かお前」という顔をされた気がするな。

 もうちょっと前後関係をお聞き願いたい。

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 夏は、「ひやしおでん」の時期だと信じる。「冷やす」。「冷やす」ことが大切です。これは何度でも主張していきたい。

 とはいえ、おでん作ってタッパーに分けて冷蔵庫にドーンで美味しい冷やしおでんができるなら苦労はない。ていうかまずおでんの主役である大根からして時期じゃないんですよね。

 あと、大根という食材は素直そうな見た目に反してすっごいじゃじゃ馬だと僕は思っていて、コンビニおでんみたいに癖なくキレイに煮るのが難しいのだ。なんか苦くなったり、白く濁って煮えたりする。「良くない大根味」でおでん鍋全体がやられることもある。きっと当家が料理下手なだけではないと思う。

 ですからこのへんを、当家ではぜんぶ冬瓜を主軸にした夏野菜に置き換えてしまいます。

 

 というわけでメイン具材は以下の通り。

・冬瓜

・トマト

・夏向きの練り物

・緑の野菜(オクラとかシシトウとか)

 


 

 

 あとはおでんの汁だけれども、今回は酒と出汁醤油でやりました。前回掲載したカマダのやつね。

 甘さを控えめで作らないと、練り物の糖分が出て甘ったるくなりますのでご注意を。

 

 冬瓜は皮をむいて下茹で、トマトは湯剥きして食べやすいサイズに。ミニトマトでも可。オクラだったら板摺りして下茹で。シシトウだったらヘタとって焼く。万願寺とかでも同様ですね。このあたりは「野菜室掃除のためにやる」くらいでいいと思います。ナスが冷蔵庫にわさわさあるんだったら、素揚げにして追加してやっても美味しいと思うし。パプリカとかでも凄く良いと思うんだよね。そのへんはお好みで。

 

 あとは冬瓜と練り物をあわせてひと煮立ちさせて、タッパーにうつし、他の野菜類を盛り合わせて一晩くらい冷やしておく。この間に煮込んでいない野菜類にも味がうつるという寸法だ。

 

 本当にこだわるならば「炊合せ」ではないけれども、メイン鍋とは別に味濃いめ、塩強めの「野菜専用タッパー」を作って、野菜類はそっちで別漬けして盛り合わせる。これは練り物のたぐいが美味しく煮えるために必要な塩分量と、野菜を美味しく食べるのに必要な塩分量が違うから。野菜に合わせるとおでん全体が塩っ辛くなりすぎる。練り物にあわせると今度は味が少々薄い。

 とはいえこのへんは手間もかかるし、好みもあるしで、必須の工程とは考えていない。お好みでどうぞ。

 

 で、だ。

 こうやって冬瓜やトマトをぶっこんで作った冷やしおでんのいいとこはなにか、セールスポイントはなにか、っていう話なんですが、やっぱり「大根の相手をしなくていいところ」だと思うんですよ。そこどんだけ推すんだ

 ぶり大根とかもつ煮みたいに、濃ゆい味付けでこっくり煮てしまえる調理法ならばそんなに苦労はない。大根が何味だろうが、醤油とかみそとか砂糖とかの物量に飲み込まれてしまう。しかし薄めの味で淡く味をつける(当家のイメージです)おでんの場合、強い味付けで大根の棘を塗りつぶすことができない。

 

 このポイントを技術で乗り越えるのは、可能だと思う。

 でも素人にはできないと思った。そこで潔く諦めた。そもそも大根の時期じゃないし。

 結局、大根を使わなきゃ良いんじゃないかと。そもそも時期じゃないしと。そういうわけで冬瓜の抜擢である。実際、漢方ではウリ科の植物は食べると身体を冷やすと言うらしいし、大根を無理くり使うよりも夏向きだと思うんですよねぇ。

 

 難しい作業は本当に何もありません。でっかい冬瓜をスーパーから持ち帰ってくるのがこのメニューでいちばんめんどくさい要素だとすら思う。それを皮剥いて下茹でするのがいちばんだるい。あと時点でトマトの湯むき。

 それらさえ済んだら、ちょっと煮てタッパーに流し込んであとは冷蔵庫に一晩任しとくだけなので、おでん自体の調理肯定としては全然イージーだと思う。

 

 夏は、冷やしおでん。夏酒といっしょにいかがですか。

 ぜひお試しください。